コンセプト
「 廃校プールを活用したスマート陸上養殖
ICTを活用したスマート陸上養殖の
パッケージ化で
世界の食糧危機回避に
寄与しよう! 」
この事業は、旧若宮小学校プールを利用し養殖魚を育て出荷することが目的ではありません。ICTを活用したスマート陸上養殖のパッケージ化で世界の食糧危機回避に寄与することを目的としています。
- 陸上養殖とは
- 養殖とは、海に浮かべた生簀で行う海上養殖が一般的ですが、海中汚染が深刻であり、病気も多くなっています。一方、完全型の陸上養殖は水槽、濾過器など全ての循環を陸上で行うため環境に優しく、小規模でも飼育が可能となっています。
養殖する魚
ホンモロコ
ホンモロコ
ホンモロコは、コイ科に属する淡水魚で、琵琶湖の固有種です。子持ちの魚は高級魚として取引され、飼育の手軽さから近年は、休耕田で栽培養殖が行われています。
味は良く、佃煮や天ぷらなどで使われ、京都などでは高級魚として旅館で提供されています。
埼玉県では組合も存在し、3,000円/kgで取引されます。
- ・島根ホンモロコ
- ・モロコ隠れ
- ・住江のホンモロコ
- ホンモロコの養殖
- ホンモロコが養殖魚として挙げられる理由は、飼育のしやすさです。
ホンモロコはもともと琵琶湖やその周辺の流入河川の比較的流れの緩やかな場所に生息している魚で、ニジマスやウナギなどと比べ、汚れ水や溶存酸素の少ない環境でも生きていける魚です。ホンモロコの養殖は、急上宮津小学校など並行した学校でも度々行われています。
スマート陸上養殖の仕組み
本実証実験では、低コストで汎用性を持たせるため比較的簡易な装置を使用します。各種計測用センサーを設置し、スマート陸上養殖の構築を行います。
若宮プールでのスマート陸上養殖の概要
スマート陸上養殖システムの構築
センサーの概要
センサー詳細
センサー回路
プラットフォーム・ダッシュボードの機能
プラットフォーム |
・水温:5℃以下 26℃以上で発発報 |
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ダッシュボード機能 |
|
ダッシュボード画面
導入による成果
養殖において(特に陸上養殖)最も課題とされているのがランニングコストです。その中でも餌代、熱交換費、人件費が最も高いとされています。ICTを活用したモニタリングをすることによって効率的な熱交換を行うことができ、計測などの手間を省けるだけでなく、魚へのストレスを無くし、人間が出入りすることで起こる魚病菌の持ち込みを少なくすることができます。
飼育環境水内では様々な物質が循環しています。魚はこれら循環環境に依存して生きているので何かが乱れてしまった場合、水槽内の環境はすぐに崩壊し病気や、最悪の場合死亡してしまいます。様々な計測項目の変動を分析し、どのように対策をするべきなのか、何をすればいいのかを常に観測することはこれからの養殖事業には必須です。
スマート陸上養殖システム実証の成果
- モニタリングをすることによって、ヒューマンエラーをなくすことができます。養殖では様々な装置を使いますが、その装置の【切り忘れ】などモニタリング観測をすることで発見できます。(酸素量の増減や水温管理、カメラ機能によって)
- 魚は変温動物であり、動物のなかで最も水温上昇や酸素量の低下、環境の悪化などに弱い生き物です。そのため、水温管理やPH(アンモニア値)を計測することで事前に対処することで被害を未然に防ぐことができます。
- 魚の成長や産卵行動は水温や日照時間、水質に依存しています。それらをモニタリングし、コントロールすることで、短期間による成長や産卵の促進。さらには味のコントロールまで可能になります。
- 給餌時間と魚の酸素消費量も比例関係にあります。給餌直後は酸素濃度が低下し、水質が悪化します。それらをすぐに起こる場合と数時間かけて起こる場合があります。これらを観測することで、魚の状態管理をチェックできるだけでなく、増肉を調べたり無駄のない効率的な給餌が可能です。
- 電気電濃度などを観測するので水槽内にある生物数(微生物)数などの変異も観測できます。また、PH、溶存酸素量を比較することでで毒性の強いアンモニアを素早く計測できます。
今後の展望・予定
スマート陸上養殖システムによる、さらなる可能性
スマート陸上養殖システムによる、さらなる可能性
本事業での計測に加え、発動タイマーなどの機能が加われほぼすべての魚類の中間育成が飼育可能となります。これにより、今まで採算のつきにくい魚(チョウザメ、クエ、アワビ、アジ、シロギス)などの導入が可能になります。さらに、「稚魚期用の飼育システム」、「出荷システム」を導入できればまさに遠隔での養殖が可能となります。
今後、更なる展望として、対象魚の効果的な水温、温度などの環境をシステム化すれば、これまで1年以上掛かっていた養殖期間を短縮することができるようになります。
【飼育期間の短縮による効果】
熱交換費の減少、人件費の削除、餌代の減少、年数回の出荷や常時出荷が可能、病気などの死亡リスクの減少
【その他】
単価の高い時期の出荷、うまみのコントロール、自家産種苗の導入、自然毒の蓄積がないのでトラフグなどの毒素がない魚を出荷できる、食当たりの減少